病気について

うつ病

うつ病は、脳の働きに不調が生じることで、気分の落ち込みや意欲の低下が続く病気です。
気分の落ち込みだけでなく、食欲や睡眠欲などの意欲が減退し、集中力の低下や疲れやすさ、体の不調といった症状を伴うこともあります。脳全体のエネルギーバランスが崩れている状態とも言われ、心だけでなく身体にも影響を及ぼすため、早めの対応が大切です。

こんな症状ありませんか?

  • 憂鬱になったり、気分が落ち込む
  • 不眠もしくは睡眠過多
  • 興味や喜びが湧かない
  • 疲労感があったり、気力がない
  • 食欲の低下や体重減少
  • 思考力がなくなり、集中できない

うつ病の原因

うつ病は、ストレスに対する心身の耐性が低下したときに起こることが多く、その症状や程度には個人差があります。特に、職場環境での強いストレスは発症の一因となることがあり、長時間労働や過度なノルマ、人間関係の不和、ハラスメントなどが影響する場合もあります。
また、原因は職場だけにとどまりません。家庭内での介護負担や暴力、学校でのいじめなど、現代社会にはさまざまなストレス要因が存在します。これらの影響により、気分の落ち込みや食欲不振、不眠などの身体的症状が現れることがあります。

うつ病の治療

うつ病は脳の働きに関わる病気であり、放置すると悪化して回復に時間がかかることもあります。そのため、早期に適切な治療を始めることが重要です。治療では、心身を休める「休養」、職場や家庭などの「環境の調整」、必要に応じた「薬物療法」、そして「精神療法(カウンセリングなど)」を軸に、個々の状態に応じた対応を行っていきます。

休養・環境調整
うつ病の治療において、まず心と身体をしっかり休めることが大切です。職場や学校、家庭などのストレス要因を減らすために、環境を整える工夫も必要になります。たとえば、業務の負担を調整してもらったり、家事を家族と分担したりすることで、心身の負担を軽減することができます。
「周囲に迷惑をかけてしまうのでは」と思ってしまうかもしれませんが、無理をせず、安心して過ごせる環境を整えることが回復への第一歩です。必要に応じて主治医と相談しながら、職場や学校、ご家族にも協力をお願いしてみましょう。
薬物療法
うつ病の治療では、休養や環境の見直しとともに、薬による治療も重要な選択肢の一つです。現在使用されている抗うつ薬には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などがあり、症状に応じて抗不安薬や睡眠導入薬、気分安定薬、非定型抗精神病薬などを併用することもあります。
薬の効果はすぐに現れるものではなく、継続的な服用が必要です。自己判断で服用量を変えたり中止したりすると、副作用や再発のリスクが高まることがありますので、必ず医師の指示に従って服薬を続けましょう。
精神療法
うつ病の回復には、休養や環境の調整、薬物治療のほかに、心の働きに焦点をあてた「精神療法」も効果的です。精神療法では、うつ状態を引き起こした背景やストレスに目を向け、再発を防ぐための考え方や対応力を身につけていきます。
代表的な方法に「認知行動療法」と「対人関係療法」があります。認知行動療法では、困難に直面したときの考え方のクセや偏りに気づき、物事の受け止め方を見直すことで、気分の落ち込みとの悪循環を断ち切る力を養います。対人関係療法は、人間関係のストレスが症状に関わっている場合に、その関係性の改善を通して心の負担を軽くしていく方法です。

認知症

脳には、記憶、言語、思考、判断力、見当識(時間や場所を把握する力)など、さまざまな働きがあります。認知症は、こうした認知機能の複数が持続的に低下し、日常生活や社会的な活動に支障をきたす状態を指します。
具体的には、仕事でのミスが目立つようになったり、料理の手順がわからなくなったり、お金の管理が難しくなるなど、以前は問題なくできていたことが難しくなるケースがあります。こうした変化に早く気づき、適切な対応をとることが大切です。

こんな症状ありませんか?

  • もの忘れが多くなった
  • 怒りっぽく、イライラすることが
    多くなる
  • 一人になると、不安で寂しがる
  • 何をするにも億劫になる
  • 仕事、趣味、家事の段取りが悪く、
    時間がかかるようになった
  • 趣味や好きなものに興味を示さなくなる

認知症の行動・心理症状
(BPSD)とは

認知症の症状は、大きく「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」に分類されます。中核症状とは、脳の神経細胞の障害により直接的に起こる認知機能の低下を指し、「新しいことが覚えられない」「時間や場所が分からない」「段取りが立てられない」などの症状が代表的です。これらは多くの場合、初期段階から見られます。
一方、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)は、以前「周辺症状」と呼ばれていたもので、幻覚、妄想、徘徊、興奮、不安、うつ状態など、本人の心理状態や行動面に現れるさまざまな変化を指します。
BPSDは中核症状と環境、身体的健康、心理的要因などが複雑に影響し合って生じると考えられています。現在では、これらの症状が本人やご家族の生活に大きな影響を及ぼすため、「周辺症状」という表現ではなく、「行動・心理症状(BPSD)」として重視されるようになっています。

心療内科・精神科では、
BPSDを中心とした治療を行います

認知症の症状には個人差があり、中核症状だけで比較的穏やかに過ごせる方もいれば、易怒、妄想や幻覚、不眠、暴言・暴力、徘徊、介護抵抗、抑うつ、拒食などの行動・心理症状(BPSD)が強く出て、介護に多くのエネルギーを要する方もいます。
精神科・心療内科では、こうしたBPSDの症状に対して適切な薬物療法を行い、患者様の負担を軽減するとともに、介護を担うご家族の負担を和らげることを目標としています。患者様に寄り添い、心の混乱に伴う心理症状に対応できるのが精神科・心療内科の強みです。

依存症

依存症とは、健康や生活、人間関係や仕事に支障が出ているにもかかわらず、特定の物質や行動を自分の意志でやめられなくなる状態を指します。
依存症には、アルコールやニコチン、薬物などの物質依存と、ギャンブルなどの行動に関連する嗜癖性依存があり、脳の機能変化によって引き起こされる病気です。これは本人の意志の弱さが原因ではありません。
日本国内では、アルコール依存症の患者数は約10万人、薬物依存症が約1万人、ギャンブル依存症が約3,000人と推計されています。しかし、多くの方が自ら依存症を認識していないため、実際に治療を受けている人数は限られています。

こんな症状ありませんか?

  • やめたくてもやめられない
  • 現実の問題を否定し、攻撃的になる
  • やめても精神的に不安定になり、
    コントロールできない
  • 家族を巻き込んでいる
  • 何よりも優先してのめりこんでしまう
  • 身体面・精神面・金銭面で疲弊している

依存症の種類

  • アルコール依存症

    アルコール依存症は、お酒の飲み方や量、タイミングを自分で調整できなくなる状態を指します。飲酒が健康や生活に悪影響を及ぼすと理解していても、脳の働きに変化が生じてやめられなくなってしまいます。

  • ギャンブル依存症

    ギャンブル依存症は、人生に深刻な損失をもたらしてもギャンブルをやめられない衝動に駆られる状態です。勝利を求めてさらに賭け金を増やし、その結果、貯金を使い果たしたり行動を隠したりしてしまいます。最終的には生活が崩壊し、重大な問題に発展することがあります。

  • 薬物依存症

    薬物依存症とは、特定の薬物の使用が生活の最優先となる状態を指します。違法薬物だけでなく、医師から処方される薬や市販薬に依存するケースもあり、使用の継続がやめられなくなる病気です。

依存症を疑ったら、
まずはご相談ください。

依存症は立派な病気の一つであり、専門的な支援や治療を受けることが大切です。ご自身やご家族、知人に「依存症かもしれない」と感じた場合は、早めに保健所や精神科・心療内科にご相談ください。依存症に関する正しい知識と理解が、適切な支援や治療へつなげる最も効果的な方法です。

依存症の治療

依存症の治療には、個別の精神療法や認知行動療法を基盤とした集団療法、自助グループへの参加などさまざまな方法があります。アルコール依存症の場合、抗酒薬や飲酒量を減らす薬が使われることもありますが、これらは万能な治療薬ではありません。患者様一人ひとりに適した治療計画を継続することが大切です。
また、治療中に物質使用や特定の行動を控えられていても、些細なきっかけで再び使用してしまうことがあります。これは依存症の特性であり、本人の意志の弱さが原因ではありません。たとえ再発があっても、あきらめずに再度治療に取り組むことが重要です。

統合失調症

統合失調症は、思考や感情がまとまりにくくなることで、気分や行動、人間関係に影響が現れる精神の病気です。症状は大きく「陽性症状」と「陰性症状」に分けられます。
陽性症状は、健康な状態では見られなかった幻覚や妄想が代表的で、特に周囲には聞こえない声が聞こえる幻聴がよく見られます。
一方、陰性症状は意欲の低下や感情表現の減少などで、本人の活動や交流が減ることがあります。
周囲の方は、独り言を話す、実際にはない悪口を言われたと感じる、会話がまとまらず支離滅裂になる、人との接触を避けがちになるといった様子に気づくことがあります。

こんな症状ありませんか?

  • 実際には起こっていないことを強く
    妄想する
  • 考えが混乱し、一貫性がなくなる
  • ないはずのものが見える(幻視)
  • 喜怒哀楽の表現が乏しくなる
  • 周囲に人がいないのに、悪口や命令が
    聞こえる
    (幻聴)
  • 自発的に何かする意欲がなくなる

統合失調症の治療

統合失調症の治療は、抗精神病薬を中心に、リハビリテーションや地域支援、精神療法を組み合わせて行われます。また、ご家族への病状や治療に関する理解を深める心理教育も重要です。これにより、ご家族の支援が得られやすくなるとともに、医療者と患者様との良好な関係維持にもつながります。

  • 抗精神病薬

    妄想や幻覚、まとまらない思考などの症状を和らげるために、抗精神病薬が用いられます。急性症状が落ち着いた後も継続して服用することで、症状の再発を抑える効果があります。ただし、眠気や筋肉のこわばり、震え、不随意運動(遅発性ジスキネジア)、体重増加、不穏などの副作用が生じることがあるため、医師の指示に従い慎重に使用します。

  • リハビリテーションと
    地域支援活動

    職場訓練などのリハビリは、医療機関内ではなく社会の中で生活するために必要な技能を身につけることを目的としています。これにより、仕事や買い物、身の回りの管理、家事などの日常生活を自立して行う力が育まれ、人間関係の改善にもつながります。地域支援サービスでは、統合失調症の方ができるだけ自立して生活できるよう、多様な支援が提供されています。

  • 精神療法

    精神療法自体で症状が直接改善することは少ないものの、患者様、家族、医療スタッフの協力関係を築くうえで重要な役割を果たします。この関係性の中で、患者様は自身の病気を理解し、処方された薬を正しく服用し、ストレスへの対処方法を学びます。医師と患者様の良好な信頼関係が治療の成功に繋がることが多いです。